皆さま、お疲れさまです。松井みどりです。
家族草子札幌公演が無事に終了しました。協賛してくださった日本レーベンの皆さん、スタッフ・キャストの皆さん、その他応援してくださった皆さん、そして何よりお越しくださったお客さま、本当にありがとうございました!
今回は家族草子史上、一番長い稽古期間でした。昨年11月の札幌第1回公演の時の大成功がたまたまと思われないために、きちんと準備をして迎えました。
しかし、全てが順調に行ったわけではありません。
私は「ホタルの熱」という話の主人公・和歌子役を演じました。このお話、実は再演で、1回目の時も私がやらせていただきました。
私は人が死んでしまう話がとても苦手で、ホラーは言うに及ばず、戦争、病気などがテーマになったものも、進んで見ることはあまりありません。
「ホタルの熱」は、夫に蒸発され将来に絶望した母親が、息子と心中の旅に出るというストーリー。最後は温かい民宿の女将さんに救われますし、別に話の中で人が死ぬことはありませんが、死というものに真剣に向き合わなければなりませんでした。
その作業が…辛かったです。子供を連れて死ぬ、ということが、私にとって全く現実的じゃないからだと思います。だから、こんな風に思っていたんですよね。
なんで子供まで連れて行くの?
まだ生きる方法はあるんじゃないの?
でもある時、ふと思いました。
この人、がんばりすぎ。義兄がくれたお金は手切金なんかじゃないし、まだまだ頼れる人はいる。でも、全部自分で責任取りたくて、自分自身でなんとかしたくて、迷惑かけたくなくて、がんばってがんばって自分を追い詰めてしまった人なんだな、と。
そういうところ、昔の私には顕著にありました。だから、そういう気持ちなら痛いほどわかる。
そこから読み直し、ようやく主人公の和歌子さんに近づけた気がしました。初演の時はそこまで突き詰めては考えていなかった…拙いなりにも、そこまでたどり着けたことは、私にとっては大きな収穫でした。
もっと早く気づけよ、ということなんですけど(^^;;自分の役って、なぜかそういうところに気づかないこと、多いです。人のことなら気づいたりするんですけどね。
そんなことで、演出の保倉大朔氏や一緒に稽古してくれた共演者、スタッフさんたちに支えてもらい、なんとか5ステージを演じ切ることができました。
でもね、本番で演じながら「あ、そうだったのか!」って気づくこともあったんですよ。その話を役者であり、ダンサーでもある明樹由佳さんにしたら、「どんなに稽古しても、お客さんの前でやってわかることってありますよ」と言われ、明樹さんでもそんなことあるんだ!と、ちょっとホッとしました。お芝居って、深いですね。
そんな話もできる、本当に素敵な共演者、スタッフさんたちに囲まれ、振り返ると、とても幸せな日々だったなぁと思います。そして、あんなに苦手な話だと思っていたのに、今日はもうできないんだ…と、寂しく思ったのには、自分で驚きました。すべてに感謝です。
さて、次の家族草子公演は、10月の群馬・大泉。また違う役と向き合います!
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